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美しき小川洋子の世界2017.07.21

皆様こんにちは。代官山店の鬼丸です。

年間100冊近く本を読む僕がどうしても今回ご紹介したいのが作家小川洋子さんの世界。

第一回の本屋大賞にもなった「博士の愛した数式」が」有名な小川洋子さんですが、彼女の紡ぎだす繊細で澄んだ世界観が僕は大好き。どの作品にもどこか欠落した登場人物がいて、その実に人間らしい脆さが読んでいて、とっても愛おしく良い意味で切なくなってしまうのです。

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せっかくですので小川洋子の世界を存分に味わえるお勧め作品ベスト3をご紹介します。

・第3位 「ことり」

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ある日突然鳥の言葉しか話さなくなった兄とその兄の言葉を唯一理解できる主人公のお小父さん。ある種二つの世界を繋ぐ橋渡し役となるお小父さんのピュアで不器用な人間性と素朴ながらも、美しいルーティンに酔いしれてしまう作品。

・第2位 「人質の朗読会」

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南米のとある村で日本人7人と添乗員1名が反政府ゲリラに拉致されてしまう。軍と特殊部隊が突入するが犯人が仕掛けたダイナマイトで人質全員が死亡。2年後、盗聴器によって語られる人質一人一人の宝石のような物語。人質たちが決して希望を失わず、各々の人生の断片を語る様は悲しみを超越した美しさを感じます。

・第1位 「猫を抱いて象と泳ぐ」

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この作品は最初から最後まで完全なる詩です!!
人形リトルアリョーヒンの中に入ってチェスを打ち続ける主人公。決して自分自身として自己を表現する事をさける主人公が、チェスを通した人との触れ合いの中で最後はチェス盤上に自己を表現する様は読んでいて鳥肌が立ちます。そして最後のクライマックスにはハッと息を飲んでしまいますよ。

まだまだ語りたい事はたくさんありますが、ぜひこの3つのどれか一つでもお読みになってみてください。きっと小川洋子さん美しい世界にどっぷりと浸かってしまうと思いますよ。

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