生地のハナシ12 ~カノコ~2009.04.15
気まぐれ日記をご覧の皆さま、
こんにちは。
今回のおハナシは “鹿の子(かのこ)”。
鹿(しか)の子供にある 背の白い斑点に似た模様の 編み方の総称を
そう呼ぶそうです。春から夏にかけて よく着られるポロシャツ。
そのアイテムに使われる 代表的な素材が“鹿の子”。
表面が凸凹になっているため、糸の盛り上がりによって得られる
サラリとした肌触りや、特徴的な網目による 風通しの良さが特徴なのです。
ポロシャツというものは、もともとは イギリスのポロ(馬に乗って行う)競技の
ユニフォームが 原型で、その後テニスや、ゴルフのウェアに用いられ、
歴史を重ね 今の様な お洒落アイテムとなったのだとか。
この春、衣にも “鹿の子”素材の ポロシャツが お目見えします。
少しだけ、この素材のことを知ってもらい 着てもらえれば と思います。
生地のハナシ11 ~リサイクルコットン~2009.03.04
気まぐれ日記をご覧のみなさま、こんにちは。
今回は「リサイクルコットン」についてのお話です。
衣でも度々登場する素材で、
本当に“衣らしさ”を表現するのにふさわしい素材ではないでしょうか。
そもそも綿の繊維は同じ種類、同じ産地であっても 一本一本少しづつ長さが違います。
その長さの異なる物同士をムラのないきれいな糸に紡ぐ時、
どうしても出てくるはみだし者。
これらは<落ち綿>とか、<クズ綿>と呼ばれるのですが、
こんなはみだし者達をもう一度集め、ひとつにまとめ、
紡がれた物が「リサイクルコットン」と呼ばれるものになります。
1本1本の繊維が短く、紡績するのが大変で手間がかかる為、
普通は焼却されてしまうのだとか…。
<生成り>色に見られるポツポツと黒い点は、綿カスの名残。
古寺の昔から使われ続ける“襖(ふすま)”の様な顔に
“衣”は魅せられ、漂白することなくわざと残しています。
とても素朴な表情としなやかさは、この素材固有の物。
衣では今までも取り組んできた様に、
これからも使い続けられる素材となるでしょう。
生地のハナシ10 ~プレーティング~2009.02.25
気まぐれ日記をご覧の皆様、こんにちは。
今回は「プレーティング」について綴らせて頂きます。
天竺(Tシャツ生地)や裏毛と同じ“編み物”の仲間で、通常1本だけ通す針に、
2本の糸を同時に引き入れながら編んだ生地を 「プレーティング」と呼びます。
“二重臼(にじゅううす)”とか、“添え糸編み”“くるみ編み”とも呼ばれるそうです。
上質な生地感と、しっとり馴染むような着心地が特徴で、
この春、衣が使うプレーティングにはもう一つ!最大の特徴があるのです!!
同時に引き込む2本の糸を全く別の色にしておく事で、
一枚の生地の表裏が、全く別の色に仕上がるのです。
これはプレーティングが<表側に出る糸>と、<裏側に出る糸>とを、
きれいに分かれさせる事ができる編み方だから生まれた表現。
さらに、ふわっと柔らかく編んでいるので、
糸と糸の隙間から反対側の色が少し見え隠れ。
-廓(くるわ)-をイメージさせる色合いに仕上がりました。
生地のハナシ9 ~硫化染【りゅうかぞめ】~2009.02.06
気まぐれ日記をご覧のみなさま、
こんにちは。
今回は「硫化染」について語らせて頂きたいと思います。
“生地”のハナシなのに“染め”!?
と思われる方もおられるかも知れませんが、
“染め”も生地にとっての大切な要素のひとつです。
同じ生地でも色によりその表情は違い、
それが個性につながるのです。
そもそも藍染は染液から出したあと、
空気に触れる事で発色するのですが、
染色に時間がかかり、色落ちが強いという
人からは嫌われがちな一面を持っています。
それを改善しようと生み出された“染め”が
「硫化染」なのです。
代表的な物に“消防袢纏(はんてん)”等があります。
藍染が“濃紺”から“淡い水色”に冴えていくように、
消防袢纏の、炭の様な漆黒も、
燃えた後に残るはかない灰の色の様に
時間と共に元色とその淡色が共生した色へと姿を変えます。
きっと育てる楽しみを持つ一着になるでしょう。
生地のハナシ8 ~重ね~2009.01.22
気まぐれ日記をご覧のみなさま、
こんにちは。
久しぶりに生地にまつわるお話を綴らせて頂きたいと思います。
今回のテーマ・・・それは生地の「重ね」です。
日本において「重ね」は古くから、
その時代や地域・文化にあわせ、私たちが着る衣服の中に取り入れられてきました。
例えば、着物。
色と色が、重なりあいながらもお互いを引き立たせ、
息をのむ美しさを見せる、奥深き伝統衣装です。
それは、狂おしい程鮮やかに、時になまめかしく。
・・・美しさの奥に潜んだ艶っぽさは、
今の時代に生きる私達をも魅了します。
そして、時は流れ 現代。
そんな「かさね」にまつわる生地が使われた長袖シャツ商品が、今春お目見えします。
それは、【オーガンジー】と【ボイル】と呼ばれる薄い2種の生地を
重ねて作られたシャツ。
透き通ったシャリ感のある生地に、様々な色を落とし込み、
それはそれは溶けるような軽やかさと妖艶さを表現致しました。
(この生地がオーガンジーと呼ばれる素材です。)
そして、その背景には無地のボイル生地。
こちらも肌ざわり抜群の薄手のシャツ生地です。
今期の衣のテーマと併せて是非お楽しみに していて下さい!
・・・2009年春夏テーマは≪郭-くるわ-≫・・・
そこからメージさせる柄、色、形、そして生地。
そんな中で、妖艶な着物を羽織り内側に秘める“色”を魅せる。
上記のシャツに、雰囲気がぴったり!
その他にも、鮮やかさと艶やかさが詰まった商品達が続々登場予定です。
是非是非お楽しみに!
生地のハナシ7 ~古布~2008.11.27
気まぐれ日記をご覧のみなさま
こんにちは。
今回も生地にまつわるお話しを綴らせて頂きたいと思います。
今回お届けする話題、それは・・・「古布」。
読んで字の如く、古い布、古い生地の事です。
けれど、一言で「古布」と言っても、その種類は様々。
華やかな着物生地も、(夏のアロハが代表格です!)
鮮やかな青を表現する藍生地も、(部分使いや、ハンチング・
半天などの柄物はジャケットやコートに・・・。)
鯉のぼりや、前掛け(バッグなど小物から、ジーンズやジャケットの
リメイクパーツとして・・。)だって、古布の種類にあたるのかもしれません。
様々な種類と共に、その生地が生きてきた時代や地方、
使われてきた意図も、様々。
上に述べた藍の生地一つとっても、お布団用や簡衣類など
普段から身の回りにあったであろう藍生地から、
屋号やお揃いのマークが入った、気分も引き締まる半纏などの仕事着。
筒描きの生地には、用途よりも柄で楽しむ心意気も充分伺えます。
そんな「古布」という生地達が、衣の洋服に力を貸してくれるもの、
それは・・・柄や色・形など先人たちが残した文化という軌跡と、
物を大切に扱うという優しい気持ち。
何年前、何十年前の生地から漂う目に見えない気配は、
様々な人の手に渡り、それでもここまで辿り着いた
“時間”を紡いだ奇跡の証拠。 時代の重みでもあります。
そんなご縁が、衣の洋服に舞い降りたのが「古布」生地を使った商品なのです。
これから先・・・時代は流れ、文化は変わり、私たちの面影だって
なくなってしまう頃が来た時、今目の前にあるこの「古布」達が、
更に尊い存在になっていますように。
そして、願わくば衣の洋服たちも 後人たちにとっての「古布」になりますように。
生地のハナシ6 ~ふわふわ裏毛~2008.11.05
気まぐれ日記をご覧のみなさま
こんにちは。
今回も生地にまつわるお話しを綴らせて頂きたいと思います。
・・・今回は、ひとつの商品にスポットをあててみたいと思います。
その商品とは・・・「ふわふわ裏毛ショールプルオーバー」。
“ふわふわ”という響きからも、その生地が持つ柔らかさや
優しさが伝わってくると思います。
和歌山県にある編み工場で編まれたこの生地。
糸と糸との間に含まれた空気は ふんわりと生地を構成し、
優しい肌触りを作ってくれました。
何年経っても、何十年経っても、その温もりは生地と共に。
是非、たくさん着込んで頂きたい一品です。
そして、生地に隠された秘密がもうひとつ。
一見、無地のインディゴ生地に見えるのですが、
実は・・・二色の“青”が、この生地には隠れているのです。
使われたのは、微妙にトーンの違う二本のインディゴの糸。
時が経ち、それぞれが色を落としていった頃、
また違う見え方をこの生地はさせてくれる事でしょう・・。
それは・・・たいせつに、永い時間を過ごして頂いた方に捧げる、
インディゴ生地からの小さな小さな贈り物。
ストライプの様に、濃淡のついた二色の青が顔を出すのを
静かに待っています。
生地のハナシ5 ~別珍~2008.10.28
気まぐれ日記をご覧のみなさま
こんにちは。
今回も生地にまつわるお話しを綴らせて頂きたいと思います。
今回のテーマは「別珍」。
この言葉を聞いて、まず浮かぶのは・・そうスカジャンですよね。
言葉の意味は解らずとも、手で覚えてきたこの感覚。
秋が過ぎ、冬を迎える前に 妙に懐かしく思えるこの手触り。
きっと、皆様も ジャケットや帽子など、一着は身の回りに
この「別珍」が潜んでいることでしょう。
ところで、この「別珍」、何の糸で出来ているかご存知ですか?
以外?!かもしれませんが、“綿”なんです。
この光沢が、この滑らかさが、そうは思わせないのですが、
紛れもなく・・綿。
綿のパイル織物(タオルの様に細かい糸がループになっているもの。
+そのループを切断して毛羽をつくったもの。)の一種です。
本当に、様々な顔を持っているのですね。綿は。
肉厚なので、着ていてもとても暖かく、手触りも滑らか。
色味の深さも特徴です。見る角度により、色に奥行きが出てきますよね。
光沢感が、高級感も与えます。
こんな理由で、「スカジャン」という特異な文化は、
この「別珍」の上に これまで息づいてきたのかもしれません。
そして、おそらくこれからも・・・。
生地のハナシ4 ~ワッフルクロス~2008.10.23
気まぐれ日記をご覧のみなさま、こんにちは。
今回も生地にまつわるお話しを綴らせて頂きたいと思います。
今回のテーマは「ワッフル」。(※正式には、「ワッフルクロス」というそうです。) 何だか、あまくてフワフワしたイメージが この言葉から、伝わってくる方もいる事でしょう。
・・・けれど、あながちそれも間違いではありません。 その名の通り、焼き菓子のワッフルのような凹凸が特徴のワッフル生地。 表面が四角形の“ます形”をなしているものが多く、凹凸の編み目が縦や横に ほどよい伸縮性を与えてくれます。
加えて肌触りがよく 通気性も高い為、毎年秋先や春先にはTシャツの上に羽織るのにちょうどいいのかも・・。 また、先ほど申し上げた「伸縮性」が、体への馴染みをよくし、型崩れもしにくい生地になっております。
衣でも、毎年どこかで必ず登場するこの生地。 “着易くて合わせやすい”、この生地が持つ魅力は・・・、あまいお菓子の様にクセになってしまうものかもしれません。
生地のハナシ3 ~ジャガード~2008.10.12
気まぐれ日記をご覧のみなさま
こんにちは。
今回も生地にまつわるお話しを綴らせて頂きたいと思います。
今回のテーマは「ジャガード」。
この「ジャガード」という名前、あまりご存知でない方も
いらっしゃることでしょう。
それでは、右下の画像をご覧下さい。
この桜の柄は、生地の上からプリントをしたものではありません。
もちろん、抜染でもありません。
そう、生地を作る段階で 柄を構成していくのです。
これが「ジャガード(ジャガード編み機)」です。
使われるのは、二色の糸のみ。(裏毛の場合は、3本使う場合も。)
桜のデザイン通り、規則正しく二本の糸が交差していきます。
一本の糸なら、普通の糸と糸。
けれど、その糸達がパズルの様に組み立てられた時、そこには
紙に描いた絵と同じ様なデザインが浮かび上がってくるのです。
柄の細かさに比例して、増す難易度。
配色の加減も重要問題です。
正に、「編み機」と「糸」と「職人さん」の共同作業。
編み機から生地を下ろした時、きちんと並んだ柄は美しさを称え、
その生地が洋服や小物となる事に わくわくと胸が躍りだします。
生地が出来るまでの長い時間を、長い戦いを、長い挑戦を、
是非生地から感じてみて下さい。
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