秋冬のおすすめ「モフモフ靴下」2023.10.04
失われつつある日本の伝統技術を守り、ものづくりに真摯に取り組む姿勢を次世代に何とか残したい。
衣は日々、その信念のもとに作品をお届けしています。
そんな私たちは、足元の小さな存在である「靴下」も、もちろん「国産」にこだわっています。
衣が出会った、とある国内の靴下工場。一足一足丁寧に、確かな技術で高品質な日本製靴下を作り続けておられます。
そうしてできた、衣の冬の人気定番商品、「モフモフ靴下」。
その名の通り、もふもふ、ふかふかとした厚手の靴下です。
温かく丈夫で、真冬の床のひんやりとした冷たさから、足を守ってくれます。
それでいて肌触りはしっとりなめらか。裏面パイルが足全体を優しく包んでくれます。
足首部分は、細く柔らかいゴムが編み込んであるので、締め付けないのにずれにくい。 冷え性の方には特におすすめ。これをはき始めると、もうほかの靴下には戻れないと思うくらいです。
そんなモフモフ靴下、毎年違ったカラーバリエーションでお届けしています。
この冬はどんなお色が登場するのか、ちょっと先取り!
さてさて、どのお色がお好みでしょうか?
お店に登場するのは秋が深まり始めるころの予定!
滅びつつある日本の宝~泣く子をあやす幽霊編~2023.08.20
泣く子をあやす幽霊、子育て飴のお話
昔、京都の六道の辻に一軒の飴屋があった。
ある夜のこと、表の戸をたたく音がするので主人が外へ声をかけると、
かすかな声で「飴をいただきにまいりました」という返事があった。
主人がさっそく戸を開けると、髪を長く垂らし、肩を落とした一人の女が立っていた。
そして、主人が茶碗にもった水飴を渡すと、女は三文をおいて立ち去っていった。
明くる日、主人が銭箱を見ると、昨晩の女からもらった三文が木の葉三枚に変わっていたという。
その夜、昨晩の女が再び現れ、やはり水飴を買っていった。
女が置いていった三文はやはり木の葉の三文だった。
こういう日が五日も六日も続き、ついに主人は寝込んでしまった。
それを聞きつけた近所の若者たちが飴屋で女が来るのを待ち、あとをつけると、女は京の都の墓場といわれた鳥辺野へと入り、ふっと姿を消した。
その事を寺の和尚に聞かせると、10日程前に若い女を葬ったという。
そして、その墓を確かめに行くと、若い女の死骸の上で水飴を嘗めながら泣いている赤ん坊がいた。
この赤ん坊は女が死んだあとに生まれたため、女は赤ん坊のために夜毎水飴を買いに出掛けていたのだという。
その後、赤ん坊は和尚に預けられ高僧になったといい、飴屋は「幽霊飴」と呼ばれ大繁盛したのだとか、、、。
死ししてなお、我が子を思う母の思いを描いた作品
「泣く子をあやす幽霊 子育て飴大島紬着物 オープンカラーシャツ」
本日20日の日付が変わるまでの、限定販売となっております。
一点もの一期一会の作品たちを是非ご覧くださいませ!
滅びつつある日本の宝~大口真神編~2023.08.18
大島紬アロハの中にある、白い狼
こちらは大口真神(おおくちのまかみ)という神様。
農作物を荒らすイノシシやシカを捕食する動物で、山間部に住む人たちにとっては益獣だった「狼」
なぜ大口真神と呼ばれるようになったのか?
それは日本書紀の「昼神」というお話で語られております。
日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が山を進んでいたところ、山の神が白鹿に姿を変えて、日本武尊の前に立ち塞がる。
なんとか勝利したものの、今度は道に迷ってしまう。
そこに現れたのが、白い山犬(ニホンオオカミ)。その山犬が日本武尊を案内した。
日本武尊はその山犬に「大口真神としてこの御岳山に留まり、すべての魔物を退治せよ」と命じた。
人語を理解し、人間の性質を見分ける力を有し、善人を守護し、悪人を罰するものと広く知られ親しみを込め「おいぬ様」と呼ばれ今も変わらず多くの方に信仰され続けている。
東京・青梅市にある武蔵御嶽神社などに祀られており
厄除け、特に火難や盗難から守る力が強いとされ、絵馬などにも描かれている。
その他にも「道を極める」というご利益もあり
極真空手の創始者が修行をした場であることから合宿の場所であったり、多くのメダリストたちが参拝するほど。
そんな白い狼が月を背に、見事な手振り刺繍で描かれております!
「白い狼と満月 大島紬着物オープンカラーシャツ」
販売期間は20日(日)までの残り3日となっておりますので、お見逃しなく!!
滅びつつある日本の宝 ~菊姫の首塚編~2023.08.16
菊姫の首塚のお話
福岡県には有名な心霊スポットの一つとされる「菊姫の首塚」
菊姫の首塚ではこんな心霊現象の目撃談があります。
まず、菊姫様の殺された3月23日の夜には、首のない菊姫の死体が首を探し回るそうです。
そして、次年になると今度は体のない菊姫の首が体を探し回る、、、。
さてさて、なぜこのような首塚が建てられることになったのか?
時は遡り、天文4年(1535年)戦国時代の真っただ中
今の福岡宗像市のあたりを当時収めていた、有力者の第76代宗像(むなかた)大宮司の宗像正氏と正室との間の一人娘でした。
菊姫が生まれた時代は戦国時代で、家督争いや殺し合いなどが日常茶飯事で、
裏切りなども、後を絶たない戦乱の世だったことは言うまでもありません。
その当時の宗像氏は山陽地方の有力武将大内氏に属する一族でした。
そして、菊姫は14歳で結婚し、当時としては順風満帆な日々を送っている…ハズだったのです。
18歳の際に家督争いに巻き込まれ、母親、従者とともに惨殺されてしまいます。
実際に、菊姫が惨殺された後、怪死する者、心を病んでしまう者、病に倒れる者、戦死するものなどが多く、
決していいことがなかったそうです。あまりの事に恐怖を感じた一族は、
菊姫たちの霊をまつるために増幅院を建立し6体の地蔵が刻まれ、地蔵尊をつくり祀った。
そんな物語が背景にある作品がこちら!
「菊姫の首塚 大島紬着物オープンカラーシャツ」
ころもづくり~手振り刺繍(横振り刺繍)編~2023.08.08
衣でお馴染み手振り刺繍についてお話したいと思います。
手振り刺繍のミシンは通常のミシンと違い、足元のペダルと右膝部分にもう一つ針の幅を操作する為の調整レバーがついています。
膝でレバーを動かし針の幅を変え、足もとのペダルで速度をコントロールしながら手で生地を動かし刺繍を入れていくため、沢山の動作を一度に行わないといけません。
私も一度触りましたがとても難しい・・・
足の上下左右の動きに混乱し1本の線すらまともに入れることが出来ませんでした。
熟練の技を持つ職人さんに話を聞くと
「刺繍を入れる植物や生き物を理解し、絵が描けないと刺繍は入れられない。」と言っておられました。
確かに…
職人さんが刺繍を入れている姿は、まるで針が筆、糸は絵具、布のキャンバスに絵を描いているよう・・・
始めは型の線があるものの刺繍で埋めていけば線は見えず、その後はフリーハンドで刺繍を入れていくので絵が描けないといけない。
だんだんと浮かび上がってくる刺繍は何度見ても飽きません。
この素晴らしい技術を持った職人さんは、今では人数が少なくとても希少な存在です。
そんな職人さんの技術が、衣の作品には数多く登場します。
先日もお店で行われたイベントでの刺繍入れは、職人さんがいる今しか出来ない本当に貴重なイベントなのです!
コンピューター刺繍とは違い、刺繍を入れられる場所も様々、職人さんの気分で変わる生き物の表情や表現方法、糸の盛り上がりの立体感は一枚一枚職人が想いを込めて手作業で行うからこそ魅力のある作品になります。
これからもっと減ってく職人さんの技術と想いを途切れさせないように・・・
衣の作品を通じて沢山の方に知って頂きたいと思います。
最後に少しだけ・・・
まだお店に出ていない作品にすごい刺繍が入ったのでチラッとお見せします。
ガイコツが着ている着物の柄は、一枚ずつ柄が違いフリーハンドで職人さんが柄を刺繍しています。
どのこのお店に現れるかはまだお楽しみ!!
ころもづくり~手彩色編~2023.06.28
衣の夏の定番となりつつある「手彩色シリーズ」の新作はもうご覧になられましたか?
今年の手彩色作品はこちらの「デカ錦鯉手彩色Tシャツ」
過去、大鯰、カエル、金魚、鯉、オオサンショウウオなど多数の名作を生み出してきた「手彩色シリーズ」はもはや衣の夏の風物詩ともなりつつあります。
その手彩色という技法について、今回は実際に製作を担当しております私の視点からお話させて頂きます。
衣でいう手彩色とは、言葉そのまま、1枚1枚職人が手(刷毛)で彩色(染め)しています。
古くから、「手描き染め」や「手描き友禅」といった技法がありますが、それと同じ要領で、刷毛を使って1枚1枚色を入れています。
使う染料インクは、赤系、青系、黄色系などの基本的なものをベースにし、生地(縫い上がったTシャツ)の上で混ぜ合わせて様々な色合いを出しています。
この色とこの色を混ぜたら…こうなるなと、刷毛を進めていくのですが、同じようにやってても毎回微妙な色の差が出るため、なんとも作り甲斐のある作品なのです。
例えば、青系に赤系を混ぜていくと、紫になっていくのですが、青の分量が多い紫と、赤の分量が多い紫とでは、出来上がりの印象が変わってきます。
また、染料インクを直接生地に刷り込んで、その上で色を混ぜ合わせていくので、混ぜ合わせる色同士の境目をいかに綺麗に混ぜ合わせるかが重要なのです。
ただ、刷毛に他の色のインクが混ざってきてしまい、刷毛が汚れてしまった場合は、綺麗な色が出せなくなります。
その為、この手彩色の作業を行う時は、インクの数だけ刷毛を用意します。刷毛も、太いものから細いものと、色によって2~3本使う場合もあるので、
彩色の基本色が多ければ多いほど大変です…
作業を進める間は、刷毛が汚れたら洗い、汚れたら洗いを繰り返し行うなど、彩色の色に影響が出ないように心がけています。
また、染料インクは、乾くと色味が若干薄くなるのが悩ましいところで、何度も繰り返し見る事で、乾いた時の色味を予想して作業していかなければなりません。
その為、1枚1枚の色の仕上がりがとても楽しみで、思った通りの色味が出る度に、一人満足しながら次の作業へ進んでいます。
1枚出来上がるのになかなかの時間を要する為、大量にお店に送り出すことが難しい昨品ですが、お店で手に取った際は、ぜひ1枚1枚の色の違いを楽しんでください!
ころもがたり~KRM市松刺子編~2023.05.15
古墳時代から使われていたとされる市松模様
上下左右に途切れず模様が続くので、永遠や発展拡大、繁栄を意味する柄であり
とても縁起の良い模様とされ、大昔から今に至るまで多くの人々から愛されて来ました。
こちらは市松模様を刺し子生地に織り上げた織物です。
この深みのある綺麗な生地を織って下さったのは、兵庫県西脇市の「播州織」の織屋さんです。
播州織の特徴は糸を先に染めてから柄を織る、先染めの織物です。
異なる色の白と青の四角形が互いに自然とうまく交わっているのは
職人様が試行錯誤を繰り返し、細い糸、太い糸、そしてその間のくらいの糸を、見事に組み合わせて、
糸をわざと均一ではないムラを出しているためです。
そんな手間をかけて織り上げた生地で誕生した、KRMの新作がこちら、、、
これぞジャパントラッドだと言い切っても過言ではないほどに
デザイン、色合い、素材、着心地、、、
服を選ぶにあたって欠かせない要素がバランスよく1つになった
和のラギットに、日本本来の「侘寂」のスタイルを発信するKRMらしい一着です。
こちらの薄茶の色味はミリタリーテイストのルックやカジュアルなアイテムとの相性も抜群です。
皆様へご紹介すべきはずが、私が欲しくなって来ました、、、
こんな素敵な服と会うことができるのは、
誇りである日本の技が消えぬ様に、数多の職人様が大切に受け継いで来て下さったから、
これらを愛して下さっている、皆様のお陰であります。
これからもオスティア・ジャパン衣は、皆様が素敵な一着に出会えるよう
日々精進させて頂きます。
ころもづくり~手捺染(てなっせん)総柄編~2023.04.06
優雅に遊泳する“金魚柄“や四季折々の美しい花々が描かれた“百花蝶柄”
いわゆる総柄と呼ばれる衣を代表するデザイン。
毎年この総柄の作品達をお目当てに足繫くお店へ来て頂く方も多く、今や衣を代表する人気作品の一つです。
衣の総柄を愛する皆様、このような疑問を持ったことはないでしょうか。
「こんな緻密な柄、そしてまるで吸い込まれるかのような透き通った深みのある色使い。いったいどうやってるんだ!!」と。
きっと、否絶対にそう思ったことがあるでしょう。
ですが、安心してください。
これを読めばその疑問も解決!それどころか衣の総柄をもっと好きに。
そして、今までとは違った視点で総柄を、お洋服を、京都を楽しむことが出来るでしょう。
ということで、しばしお付き合いくださいませ。
結論から申し上げますと、この美しい総柄を生み出しているのは機械でもなければ魔法でもございません。
京都の伝統的な染めの技法、京友禅の「手捺染(てなっせん)」という染色技法です。“手”捺染というだけあって、作業は一つ一つが職人さんの手仕事。
手捺染は1色につき1枚の染型の板を用います。
まな板サイズであればいいのですがこれまた両手でヨイショ!
と抱えるほどの大きさ。
驚くことなかれ。衣では定番の“百花蝶柄”。
使われている染型の板の枚数。
なんと・・・16枚なり。・・・。( ゚Д゚)
職人の方々には感謝してもしきれません。
さらには、染める際は1つ目の色が乾かないと次の色が染められません。
その為1つの作品を作るのにかなりの時間がかかるのです。
手捺染で用いられる染料は、扱いの難しい粘度のある糊状のもの。
その染料を一定のスピードで、かつ正確に板の上に載せていきます。
もし少しでも位置がずれてしまったり、スピードが速かったり遅かったりすると模様が均一にならずきれいな仕上がりにならないのです。
ゆえに、手仕事でありながら機械並みの正確さが求められます。
まさに!!熟練の職人にしか成せない染めなのです!
手作業で染めるからこそ、複雑な柄も再現でき、美しく鮮やかな発色となります。
しかしながら、日本が世界に誇れる素晴らしい染めですが、様々な理由から年々減少しています。こんなにも美しい表現が出来るのに。
“日本の古き良き美しき伝統技術を後世へと残していきたい”
そんな“想い”も衣の総柄作品には込められているのです!!
いかがでしたでしょうか。少しは衣の総柄の魅力が伝わっていれば幸いです。
気温もあがり柄でファッションを楽しむ季節、総柄Tシャツの出番ですね!
衣の総柄シリーズ、今シーズン重宝すること間違いなしです!
ころものがたり ~妖怪編~2023.03.10
少し前には「妖怪ウォッチ」
その前は「ゲゲゲの鬼太郎」
そしてさかのぼると「古事記」と
日本の歴史とともにある「妖怪」
ロウソクの火や、月明りしかなかった時代。
夜の闇は今では、想像もつかないほど深い闇だった。
その闇への恐怖を「妖怪」「妖(あやかし)」「物の怪」と呼び姿かたちを描くことで、恐怖を和らげていたのではないでしょうか?
衣の作品でも欠かせない作品の一つ「妖怪」
衣主が紡ぎ出す妖怪たちは、運動会やサーカス、身体測定などをしていたりと、私たちのマネをして妖怪たちも、楽しんでいる場面がたくさんありますね!
しかし!その「妖怪」
描こうとすると、なかなか描けず
何か違うことをやっていたりした時に、ふと浮かんだり
今日はもう無理!と思い寝ていると、夜中にふと目が覚めスラスラと描けたりとなかなか気まぐれだそう!
私も妖怪作品のファンの一人です。
持っている服の半分以上は妖怪柄!
なのでもうこれ以上、増やすのはやめようと思うのですが、、、
新しい作品が出る度
「面白い!!かわいい!!」と増えていってしまいます。
22年に登場した「妖怪製造機」は衣妖怪の誕生の秘密が、描かれていてとても面白い作品でしたね!
さてさて23年は一体どんな「妖怪柄」が登場するのか、、、
皆様をあっと!驚く作品が出るという、お話も少し小耳にしておりますのでお楽しみに!
-もの作りのハナシ- 『本藍』2011.10.19
「JAPAN BLUE」
よく聞く色名ではあるが、どんな青?と思う時もある。
でもそれは“藍”が作りだす1つに縛られない幾階層もの色全部の事。
「瓶覗き(かめのぞき)」や「藍白」と呼ばれる白にも近い藍もあれば、
「濃紺」と呼ばれる深淵の藍もあるのです。
その色数のごとく、歴史・文化も多彩な色。
歴史をたどるのであれば、平安時代にその色は生まれ、戦国の世では武士の鎧下を藍で染め、
明治になる頃には日本全土に生産規模は広がったそうです。
そして文化…、「青は藍より出でて藍より青し」ということわざがあります。
“弟子が先生より優れていることのたとえ”なのですが、人が成長する上で、
教育や本人の努力がどんなに大切かということを意味しています。
さて、その藍の染料を作りあげることを“藍を建てる”と言いますが、その工程はとても大変なのです。
「赤ちゃんを育てるようなもの」と例える阿波藍作家がいます。
その作家の言葉を借りると、藍の葉の収穫から始まり、寝かせ、水をあげ、触れあい、ずっとそれを繰り返し、
そして約3か月くらいすると、ようやく“すくも”と呼ばれる藍の原料になります。
その“すくも”から、藍色に染められる液体を育てるためには、1日何度かのご飯(“ふすま”と呼ばれる小麦の殻)や
甘いもの(糖分やお酒)を、ご機嫌を見ながら与え、常に元気に育つ様にそばで見守り、
寒い時はその甕(かめ)を電気毛布でくるんであげる。
そんなわがままにも感じられ、過保護にも感じられる染料、それが“藍”なのです。
「藍」が好きで、「藍」と共に暮らし、「藍」を守る。そんな「藍」の作品を、大切にしていきたいと思います。