生地のハナシ7 ~古布~2008.11.27
気まぐれ日記をご覧のみなさま
こんにちは。
今回も生地にまつわるお話しを綴らせて頂きたいと思います。
今回お届けする話題、それは・・・「古布」。
読んで字の如く、古い布、古い生地の事です。
けれど、一言で「古布」と言っても、その種類は様々。
華やかな着物生地も、(夏のアロハが代表格です!)
鮮やかな青を表現する藍生地も、(部分使いや、ハンチング・
半天などの柄物はジャケットやコートに・・・。)
鯉のぼりや、前掛け(バッグなど小物から、ジーンズやジャケットの
リメイクパーツとして・・。)だって、古布の種類にあたるのかもしれません。
様々な種類と共に、その生地が生きてきた時代や地方、
使われてきた意図も、様々。
上に述べた藍の生地一つとっても、お布団用や簡衣類など
普段から身の回りにあったであろう藍生地から、
屋号やお揃いのマークが入った、気分も引き締まる半纏などの仕事着。
筒描きの生地には、用途よりも柄で楽しむ心意気も充分伺えます。
そんな「古布」という生地達が、衣の洋服に力を貸してくれるもの、
それは・・・柄や色・形など先人たちが残した文化という軌跡と、
物を大切に扱うという優しい気持ち。
何年前、何十年前の生地から漂う目に見えない気配は、
様々な人の手に渡り、それでもここまで辿り着いた
“時間”を紡いだ奇跡の証拠。 時代の重みでもあります。
そんなご縁が、衣の洋服に舞い降りたのが「古布」生地を使った商品なのです。
これから先・・・時代は流れ、文化は変わり、私たちの面影だって
なくなってしまう頃が来た時、今目の前にあるこの「古布」達が、
更に尊い存在になっていますように。
そして、願わくば衣の洋服たちも 後人たちにとっての「古布」になりますように。
生地のハナシ6 ~ふわふわ裏毛~2008.11.05
気まぐれ日記をご覧のみなさま
こんにちは。
今回も生地にまつわるお話しを綴らせて頂きたいと思います。
・・・今回は、ひとつの商品にスポットをあててみたいと思います。
その商品とは・・・「ふわふわ裏毛ショールプルオーバー」。
“ふわふわ”という響きからも、その生地が持つ柔らかさや
優しさが伝わってくると思います。
和歌山県にある編み工場で編まれたこの生地。
糸と糸との間に含まれた空気は ふんわりと生地を構成し、
優しい肌触りを作ってくれました。
何年経っても、何十年経っても、その温もりは生地と共に。
是非、たくさん着込んで頂きたい一品です。
そして、生地に隠された秘密がもうひとつ。
一見、無地のインディゴ生地に見えるのですが、
実は・・・二色の“青”が、この生地には隠れているのです。
使われたのは、微妙にトーンの違う二本のインディゴの糸。
時が経ち、それぞれが色を落としていった頃、
また違う見え方をこの生地はさせてくれる事でしょう・・。
それは・・・たいせつに、永い時間を過ごして頂いた方に捧げる、
インディゴ生地からの小さな小さな贈り物。
ストライプの様に、濃淡のついた二色の青が顔を出すのを
静かに待っています。
生地のハナシ5 ~別珍~2008.10.28
気まぐれ日記をご覧のみなさま
こんにちは。
今回も生地にまつわるお話しを綴らせて頂きたいと思います。
今回のテーマは「別珍」。
この言葉を聞いて、まず浮かぶのは・・そうスカジャンですよね。
言葉の意味は解らずとも、手で覚えてきたこの感覚。
秋が過ぎ、冬を迎える前に 妙に懐かしく思えるこの手触り。
きっと、皆様も ジャケットや帽子など、一着は身の回りに
この「別珍」が潜んでいることでしょう。
ところで、この「別珍」、何の糸で出来ているかご存知ですか?
以外?!かもしれませんが、“綿”なんです。
この光沢が、この滑らかさが、そうは思わせないのですが、
紛れもなく・・綿。
綿のパイル織物(タオルの様に細かい糸がループになっているもの。
+そのループを切断して毛羽をつくったもの。)の一種です。
本当に、様々な顔を持っているのですね。綿は。
肉厚なので、着ていてもとても暖かく、手触りも滑らか。
色味の深さも特徴です。見る角度により、色に奥行きが出てきますよね。
光沢感が、高級感も与えます。
こんな理由で、「スカジャン」という特異な文化は、
この「別珍」の上に これまで息づいてきたのかもしれません。
そして、おそらくこれからも・・・。
生地のハナシ4 ~ワッフルクロス~2008.10.23
気まぐれ日記をご覧のみなさま、こんにちは。
今回も生地にまつわるお話しを綴らせて頂きたいと思います。
今回のテーマは「ワッフル」。(※正式には、「ワッフルクロス」というそうです。) 何だか、あまくてフワフワしたイメージが この言葉から、伝わってくる方もいる事でしょう。
・・・けれど、あながちそれも間違いではありません。 その名の通り、焼き菓子のワッフルのような凹凸が特徴のワッフル生地。 表面が四角形の“ます形”をなしているものが多く、凹凸の編み目が縦や横に ほどよい伸縮性を与えてくれます。
加えて肌触りがよく 通気性も高い為、毎年秋先や春先にはTシャツの上に羽織るのにちょうどいいのかも・・。 また、先ほど申し上げた「伸縮性」が、体への馴染みをよくし、型崩れもしにくい生地になっております。
衣でも、毎年どこかで必ず登場するこの生地。 “着易くて合わせやすい”、この生地が持つ魅力は・・・、あまいお菓子の様にクセになってしまうものかもしれません。
生地のハナシ3 ~ジャガード~2008.10.12
気まぐれ日記をご覧のみなさま
こんにちは。
今回も生地にまつわるお話しを綴らせて頂きたいと思います。
今回のテーマは「ジャガード」。
この「ジャガード」という名前、あまりご存知でない方も
いらっしゃることでしょう。
それでは、右下の画像をご覧下さい。
この桜の柄は、生地の上からプリントをしたものではありません。
もちろん、抜染でもありません。
そう、生地を作る段階で 柄を構成していくのです。
これが「ジャガード(ジャガード編み機)」です。
使われるのは、二色の糸のみ。(裏毛の場合は、3本使う場合も。)
桜のデザイン通り、規則正しく二本の糸が交差していきます。
一本の糸なら、普通の糸と糸。
けれど、その糸達がパズルの様に組み立てられた時、そこには
紙に描いた絵と同じ様なデザインが浮かび上がってくるのです。
柄の細かさに比例して、増す難易度。
配色の加減も重要問題です。
正に、「編み機」と「糸」と「職人さん」の共同作業。
編み機から生地を下ろした時、きちんと並んだ柄は美しさを称え、
その生地が洋服や小物となる事に わくわくと胸が躍りだします。
生地が出来るまでの長い時間を、長い戦いを、長い挑戦を、
是非生地から感じてみて下さい。
生地のハナシ2 ~ジンバブエコットン~2008.10.05
今回のテーマは「ジンバブエコットン」。前回のインディゴ撚糸同様、衣の商品では毎シーズン登場する生地です。
お店でお買い求めいただいた洋服に、緑のシールが貼ってあるものをご覧の方もいるはず。そこには・・こんな言葉が。「ジンバブエ綿はアフリカの大地の恵みを受けて育てられる、自然からの贈り物です。」この言葉が持つ真実。それは、機械を使わず すべて手摘み収穫を行うところから始まります。
これにより、収穫時の損傷や不純物の混入が少なく、白度に優れ、繊維の均整度も高い“綿”が生まれるのです。これだけで、何だかとてもいい生地の様な気がしてきますよね。
では、実際の着心地はいかがでしょうか?
・・・このジンバブエコットンのTシャツは、長年愛用して頂いてこそ、その真髄を感じて頂けるものだと思っています。もちろん、着始めの印象も、しっかりとした生地だと感じて頂けるでしょう。けれど、洗って、着て、洗って、着て・・を繰り返し、繊維が充分な慣れを感じた頃、もっともっとこの素材は“優しさ”を発揮します。事実、この素材を衣が使い始めて今年で約10年、約10年前にジンバブエコットンのTシャツを購入して頂いた方が、今でも変わらず着て下さっている光景を何度か目にしました。古株のスタッフにも、何年越しかの愛用者がいることでしょう。
やわらかく、ふくらみのある独特な風合い。風に吹かれ、洗いざらしのTシャツに袖を通す喜び。是非、一枚のTシャツと長い時間を過ごしてみて下さい。
生地のハナシ1 ~インディゴ撚糸~2008.09.28
半袖、長袖 共に、衣の定番生地となっている「インディゴ撚糸」。
着応えのあるずっしりとした生地と、お洗濯や着用する度に変わる
色落ち加減が特徴です。
「糸を撚る(よる)」という行動から名付けられたこの撚糸という生地。
撚るとは、ねじりあわせること。紙などの「こより」という使い方や、
「よりを戻す」などという言い回しも、“撚る”からきているそうです。
では、なぜ撚るのでしょう・・。
その目的は、一本一本の糸として強度を高める為。
そして、その糸が集まって 丈夫な生地が出来るのです。
更に、衣ではこの糸に鮮やかなインディゴ染めを。
(※黒鉄は、更に染めの回数を増やして深みを付けています。)
この、丈夫でしっかりした生地とインディゴ染料との組み合わせ、
私たちの身近にある ある物とすごく似ていると思いませんか?
そう、ジーンズ(デニム)です。
その証拠に、この撚糸生地にも“アタリ”や“味”は付きます。
長年着込んだ洋服は、柔らかくふくふくとした生地に変身し、
袖口や首周りには、冴えた色落ち感が。
まさに“着る”ジーンズ。