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ころもづくり~手振り刺繍(横振り刺繍)編~2023.08.08

衣でお馴染み手振り刺繍についてお話したいと思います。

手振り刺繍のミシンは通常のミシンと違い、足元のペダルと右膝部分にもう一つ針の幅を操作する為の調整レバーがついています。
膝でレバーを動かし針の幅を変え、足もとのペダルで速度をコントロールしながら手で生地を動かし刺繍を入れていくため、沢山の動作を一度に行わないといけません。
私も一度触りましたがとても難しい・・・
足の上下左右の動きに混乱し1本の線すらまともに入れることが出来ませんでした。

熟練の技を持つ職人さんに話を聞くと
「刺繍を入れる植物や生き物を理解し、絵が描けないと刺繍は入れられない。」と言っておられました。
確かに…
職人さんが刺繍を入れている姿は、まるで針が筆、糸は絵具、布のキャンバスに絵を描いているよう・・・
始めは型の線があるものの刺繍で埋めていけば線は見えず、その後はフリーハンドで刺繍を入れていくので絵が描けないといけない。
だんだんと浮かび上がってくる刺繍は何度見ても飽きません。

この素晴らしい技術を持った職人さんは、今では人数が少なくとても希少な存在です。
そんな職人さんの技術が、衣の作品には数多く登場します。
先日もお店で行われたイベントでの刺繍入れは、職人さんがいる今しか出来ない本当に貴重なイベントなのです!

コンピューター刺繍とは違い、刺繍を入れられる場所も様々、職人さんの気分で変わる生き物の表情や表現方法、糸の盛り上がりの立体感は一枚一枚職人が想いを込めて手作業で行うからこそ魅力のある作品になります。
これからもっと減ってく職人さんの技術と想いを途切れさせないように・・・
衣の作品を通じて沢山の方に知って頂きたいと思います。

最後に少しだけ・・・
まだお店に出ていない作品にすごい刺繍が入ったのでチラッとお見せします。
ガイコツが着ている着物の柄は、一枚ずつ柄が違いフリーハンドで職人さんが柄を刺繍しています。

どのこのお店に現れるかはまだお楽しみ!!

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