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はじめての衣 ~岸田編~2008.03.03

気まぐれ日記をご覧の皆様
こんにちは。
衣大津パルコ店の岸田です。
縁があって僕は今、衣のお店に立って衣の商品や
その一つ一つが持つ意味を伝えていく側に立たせてもらってます。
 しかし、衣に入る前の僕は、服の知識が無く、
ただ、服が好きで、どうしたらオシャレに見えるのかという表面的な部分でしか、
衣服というものを捉えていませんでした。
和柄という分野にもそれほど興味が無かったというのが本音です。
 そんな僕でしたが、ある一枚の衣のロンTに出会い人生全てが変わってしまったのです。
約2年前、初めての仕事の日、店頭に立たせてもらうという事で、
お借りしたロンT・・・ その名も「目玉お化けの鯛みこしロンT」。
・・・何だこれは!
頭が目玉、
体は人、
鯛みこしを四人で担いで走っているではないですか。
しかも一人のチビおばけが転んで焦っている姿が刺繍で描かれていて、
・・・とても笑えました。
聞いたこともないタイトル、
見たこともない絵柄、
初めて触れた素材。
一枚の服にまるで魂が宿っているかのように感じたのです。
言葉では上手く表わされない衝撃を受けたのです。
糸から染めて作られた藍染ロンT。
少しとろみのついた抜染糊というものを用いて、
一筆ずつ手描きで絵を描いた手描き抜染という技法。
何もかも知らない世界でした。
この世にこんな服があったのかと、
とても新鮮な心地よい気分になったことを、今でもハッキリ覚えています。
一枚の服から始まった「初めての衣」。
一枚の服のストーリー、
込められ想い、それに対して自分が感じたことを伝えていくのが今の仕事となりました。
 そのロンTは2年経った今でも大切に育てていっています。
藍の色が全体に冴え、アタリの部分は独特のいろみを放ち、
首回りや袖の手首の部分は擦れて破れもあります。
それも味の一つです。
自分だけのヴィンテージロンTと言った所でしょうか。
皆様も是非自分だけの一枚を育てていって下さいね。
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