世の男性方、お気をつけ下さい!!~太宰治のカチカチ山~2015.04.07
日本昔話…、今回は代官山店 鬼丸からです。昔話の中で皆さんご存知の「カチカチ山」・・・ですが、太宰治の手にかかると男女の因果に早変わり!!
実はこのカチカチ山、ある描写が現代風に変えられてるのをご存知でしたか?狸が狸汁にされそうなところ、本来は「逆にお婆さんを殺して婆汁にする」という内容が、現代では児童向けに「引っ掻く」程度のものに変えられているんです。ただここで1つ大きな矛盾が!!
描写を変えた事で、反対にお婆さんと仲の良かった兎による狸への仕返しが、あまりにも執拗で残酷になってしまうんです!!そこで太宰はこの矛盾を受けて、独自の解釈で物語を展開します。
・兎を女(特に若くて恋愛経験の無い純真な少女)
・狸は男(愚鈍で大食の野暮天)
「愚鈍な男ほど危険な女に惚れやすい」という、ある種男女の典型例のような物語に仕上げるんです。兎は純真さ故に無慈悲で残酷、一方の狸は執拗な仕返しにも気付かない程自分に気があると勘違いして、結局溺死させられてしまう・・・恋多き男、太宰治らしい解釈です。
そして物語の最後、太宰からの敬句がゾッとします。「女性は全て、この無慈悲な兎が一匹住んでいるし、男性には善良な狸がいつも溺れかかってあがいている」彼自身痛い目にあってきたのでしょうね(僕も身に覚えはあるのですが)
・・・世の男性方、お気をつけ下さい!!(笑)
※太宰治著「お伽草子」より(他にもおなじみの昔話を太宰の解釈で描いた作品が多数収録されていますので是非読んでみて下さい)
※画像は太宰先生になりきった鬼丸です。