おつう伝説2015.07.01
京都は比叡山のふもと、大原へやってまいりました。いや~実にのどかな風景ですね。
あ、申しおくれました、日本昔話ツアーズへようこそ。こんにちは!1日体験ガイドのながたです。どうぞ宜しく。
市内中心部からバスでおよそ1時間、とても静かで落ち着く場所にたどり着きます。三千院や寂光院といった人気の寺院があることでも有名ですね。昨年から気まぐれ日記を読んでくださっている方は、あの「シソ染め×柿渋Tシャツ」でもご存知な場所かと思います。
さてさて今回は1965年に大ヒット、デューク・エイセスの「女ひとり」をバックミュージックにこの地にまつわる日本昔話ツアーズへといざないましょう。(心の中で口ずさんで下さい。ご存知ない方はポチっとどうぞ。)・・・・・……
……・・・・・大原という地には、それはそれは悲しい、ある女性の伝説が今も語り継がれているのです。
それが「おつう伝説」。
現在、京都市内から大原へ向かう道は、その昔からなくてはならない街道でした。それは「鯖街道(さばかいどう)」と呼ばれ、日本海側の若狭で捕れた鯖を、より早く京都を運ぶために利用され、多くの人が行き交った街道なのです。
ある日、若狭の殿様が京都からの帰り道すがら、この大原の里に住む「おつう」という美しい娘に出会い、見初めるところから物語は始まります。おつうにとって、この出会いはまさに玉の輿!大喜びで殿様と一緒に、若狭へ向かったのでした。
それからしばらくは、おつうはとても幸せに過ごしました。
ところが、ある時、おつうが病に伏してしまうのです。その病が続いた事が原因なのか、なんと殿様の恋熱が一気に冷めてしまい、とうとうおつうは大原の里に帰されてしまったのです。
里に帰り悲しさに打ちひしがれる日々を過ごしていたある日、あの殿様が大原の里を通り、上京することを知りました。「とにかく一目逢いたい。」その想いの一心で追いかけるのですが、病身のため、体が思う様に動かず、とうとう逢えなかったのです。
また悲しみに襲われたおつうは、大原に流れる川の女郎ヶ淵(じょろうがぶち)という場所に身を投げてしまいました。すると、殿様への想いの強さからか、恨みからなのか、大蛇に変身してしまうのです。
そんな「女郎ヶ淵」、現在では「和田橋」という橋のあたり、それがこちらでございます。
時をしばらくして、殿様はまた若狭へ帰るための、再び、大原の里を通ります。大蛇になったおつうは、これを知り、殿様の行列を追いかけ、川を下ります。花尻橋(はなじりばし)までたどり着いた時、いよいよ川から飛び出して、殿様を襲いました。しかし、行列の中にいた侍が立ちはだかり、大蛇のおつうを返り討ちにしました。
大蛇は無残にも首と尾を切り落とされ、恨みだけを残し、無念の死を遂げたわけです。
その恨みは、その日から大原の里に雷鳴轟く大雨をもたらし、悲鳴のような不気味な声が里中にこだまするではありませんか。
里の人々は、この恨みを沈めなければと、切り落とされた大蛇の首を「乙が森(おつがもり)」に、尾を「花尻の森(はなじりのもり)」にそれぞれ埋めて供養しました。その後、大雨は止み、不気味な声も聞こえなくなりましたとさ…。
そんなは「乙が森」がこちらになります。(おつうが森)とも書かれており、その由縁を感じざるを得ませんね。
では場所を移動し、こちらは「花尻の森(はなじりのもり)」。
本人は覚えていないかも知れませんが、実は足を踏み入れている京都スタッフも何人かいるのです。この景色、見覚えはないでしょうか…。
さてさてツアーご参加の皆さまは、実際に大原へ行く事があれば、この「花尻の森」の前は必ず通過いたしますので、ある場所の川を渡る橋にかかりました時にはおつうに襲われないか、ご注意ください…。
以上で本日の体験ガイドを、おひらきとさせていただきたいと思います。最後まで長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!