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手描き作家「朱鷺雄 -ときゆう-」2017.01.10

京都市生まれ。西陣の地で帯地図案を10年間にわたり学び続けた職人気質の作家「朱鷺雄 -ときゆう-」。独創的な発想で帯地を手がけ、西陣図案大賞を数々受賞されています。

西陣と言えば帯で有名ですが、そもそも図案?という疑問をお持ちの方もおられるかも知れません。西陣織りと言われるくらいなので“織り”で表現する伝統工芸品なのですが、その図案も手描きで描かれたものが下絵となり、しかも友禅のごとき色彩と、繊細な描写で描かれている一枚の絵画、作品なのです。図案だからと言って、墨書きのラフ描きの様なものでもなく、織りで表現するからとざっくりと描かれたものでもないというから驚きです。

西陣織りはその図案をもとに、方眼紙の一コマが経(たて)糸、緯(よこ)糸の一本にあたる卦紙(けいがみ)というものへ、色別にかき直されるといいます。糸の交差を一コマで色に分けなければいけない工程を考えれば、図案もおのずと繊細に描かなければいけなくなる。その図案自身にスポットがあたることがなくても、良質な図案がなければ良質な帯は作れない。その一筆が描く繊細な表現は、手描き友禅のそれとはまた性質の異なるものだと思う。

まさに職人。

そしてその技を使い、図案だけでなく直接帯にも様々な柄を描かれるなど、1975年に独立後も豊かな発想力をもとに、帯地に留まることなく、新たな挑戦を続け、手描きで表現する作品は多岐にわたります。

そんな手描き作家「朱鷺雄 -ときゆう-」氏に、今回は三条店限定として「桜」をテーマとした作品を描いていただきます。

衣でもこれまで様々な手描き作家に作品を作り上げてもらっていますが、その図案の中でも一番描くのが大変な花と言われるのが桜だそうです。

桜は小さな可憐な花ながらも、一つの花だけでは存在感が弱く、枝にたくさんの桜を描いて初めて、あの圧巻の美しさを纏う桜の雰因気が出せるのです。その細かさは気が遠くなるほど時間のかかる手仕事。

そんな桜も繊細に描くことにストイックなまでに挑み続けた「朱鷺雄 -ときゆう-」氏だからこそ、見事に描き上げることができるのだということを、作品を見るものに感じさせてくれる一着に。

よく見なければ見落としてしまいそうな桜の花びらの薄いグラデーションの色付け、雄蕊・雌蕊の細かさ…、そのどれを見ても思わず溜息が漏れます。

近日、作品詳細をご案内させていただきます。お楽しみに。
tokiyu

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