ころもづくり~手捺染(てなっせん)総柄編~2023.04.06
優雅に遊泳する“金魚柄“や四季折々の美しい花々が描かれた“百花蝶柄”
いわゆる総柄と呼ばれる衣を代表するデザイン。
毎年この総柄の作品達をお目当てに足繫くお店へ来て頂く方も多く、今や衣を代表する人気作品の一つです。
衣の総柄を愛する皆様、このような疑問を持ったことはないでしょうか。
「こんな緻密な柄、そしてまるで吸い込まれるかのような透き通った深みのある色使い。いったいどうやってるんだ!!」と。
きっと、否絶対にそう思ったことがあるでしょう。
ですが、安心してください。
これを読めばその疑問も解決!それどころか衣の総柄をもっと好きに。
そして、今までとは違った視点で総柄を、お洋服を、京都を楽しむことが出来るでしょう。
ということで、しばしお付き合いくださいませ。
結論から申し上げますと、この美しい総柄を生み出しているのは機械でもなければ魔法でもございません。
京都の伝統的な染めの技法、京友禅の「手捺染(てなっせん)」という染色技法です。“手”捺染というだけあって、作業は一つ一つが職人さんの手仕事。
手捺染は1色につき1枚の染型の板を用います。
まな板サイズであればいいのですがこれまた両手でヨイショ!
と抱えるほどの大きさ。
驚くことなかれ。衣では定番の“百花蝶柄”。
使われている染型の板の枚数。
なんと・・・16枚なり。・・・。( ゚Д゚)
職人の方々には感謝してもしきれません。
さらには、染める際は1つ目の色が乾かないと次の色が染められません。
その為1つの作品を作るのにかなりの時間がかかるのです。
手捺染で用いられる染料は、扱いの難しい粘度のある糊状のもの。
その染料を一定のスピードで、かつ正確に板の上に載せていきます。
もし少しでも位置がずれてしまったり、スピードが速かったり遅かったりすると模様が均一にならずきれいな仕上がりにならないのです。
ゆえに、手仕事でありながら機械並みの正確さが求められます。
まさに!!熟練の職人にしか成せない染めなのです!
手作業で染めるからこそ、複雑な柄も再現でき、美しく鮮やかな発色となります。
しかしながら、日本が世界に誇れる素晴らしい染めですが、様々な理由から年々減少しています。こんなにも美しい表現が出来るのに。
“日本の古き良き美しき伝統技術を後世へと残していきたい”
そんな“想い”も衣の総柄作品には込められているのです!!
いかがでしたでしょうか。少しは衣の総柄の魅力が伝わっていれば幸いです。
気温もあがり柄でファッションを楽しむ季節、総柄Tシャツの出番ですね!
衣の総柄シリーズ、今シーズン重宝すること間違いなしです!