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限定スカジャン「吉備津の釜」の物語 ~後編~2014.11.12

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気まぐれ日記をご覧のみな様、こんにちは。
限定スカジャン「吉備津の釜」…、昨日公開の前編はご覧いただけましたでしょうか。
その後がとても気になる後編、お届けいたします。(前編をご覧になられていない方はこちらから

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磯良が病死してまもなく、正太郎をかけおちした袖(そで)が急に重い病になって死んでしまった。
袖が死んで生気のなくなった正太郎は、林の中をあてなく歩いているうちに、
古ぼけたかやぶきの家にたどり着いた。戸が少し開いており、奥に女の着物がちらりと見えた。
そこで正太郎にいつもの悪い本性がでてくるのである…。

そして戸を開け家に入ると、御簾(みす)越しに女がいる。
近づいて声をかけようとした時、女がこちらに顔を向け、正太郎は思わず息を飲んだ。
それは病んで衰えてはいたが、まぎれもない磯良の顔であったのだ。

磯良は骸骨のように痩せ細った手をゆっくり正太郎の方へかざすと、何事か呪いの言葉を吐き出した。
恐ろしいほどに落ち窪んだ眼、憎悪に充ち充ちたゾッとする視線、髪を振り乱した凄まじい形相・・・
この世のものとは思えぬ恐怖に正太郎は気を失った。

しばらくして気がつくと、かやぶきの家ではなく、荒れ果てた墓地に横たわっていたのであった。
あたりにかやぶきの屋根ものなく、夢でも見たのかと考えた正太郎は迷ったあげく、
そのあまりに恐ろしい体験を陰陽師に相談することにした。

陰陽師はその怨霊がこの世を去ったのは7日前、あと42日間はこの世をさまよう。
次に怨霊に出会えば、たちどころに取り殺されてしまうだろうというのである。
そして正太郎の体中に呪文を書き、戸口や玄関など部屋に入れそうなすき間に護符を張り付け、
狭い小屋に閉じこもって、42日間、怨霊との死を賭けた根比べが始まるのである。

牛三つ時(午前2時頃)、屋根の上の方でミシミシときしむ音がする。
次に、裏口の障子がガタガタと揺れる。
風の音に混じって、人などいるはずのない場所から女の声が響き、
そして稲光と共に凄まじい音が鳴り響き、障子に髪を振り乱した女の影が浮かんだ。

「ええい、憎らしいことよ、こんなところに札が貼られている!」

正太郎は、恐怖にたえながら、懸命に手をあわせお経を唱えた。
いつの間にか嵐は過ぎ去り、東の空に明るさが広がってきた。
この様な夜がここから41日間、毎夜毎夜も繰り返されるのであった。

そうして、ついに49日目の夜になった。
外では風の音とともに、世にも恐ろしい怨霊の声が、
ありったけの声で呪いの言葉を吐きながら小屋の周囲を舞い、
「おのれ、おのれー!この恨み晴さずにおくものか!」と、怒れる声は凄まじいばかり。

その日の夜もどれくらい時間が経ったことだろう。
気がつけば、風もおさまり、窓を見ると、障子を通して小屋の外が明かるくなるのが分かった。
「49日目の朝が明けた!ついに悪夢は終わった。」

正太郎は、そういって立ち上がると新鮮な空気を吸いたい一心からたまらず表戸を開け放った。
ところが、外には朝の澄み切った景観などではなく、外はまだ真っ暗で、月が浮かんでいる。
これは一体全体どうしたことか?はっと気づき、正太郎には気味の悪い汗が流れ出した。

戸口のひさしから、逆さまになって垂れている女の長い髪、
正太郎は腰が抜け、後ずさりすることも出来ずに見上げたその先には、
逆さまの恰好で四つばいになり、ニタニタと気味悪い笑みを浮かべる真っ青な顔、
怨霊と化した磯良であった・・・。

そして次第に朝になり、村人が小屋の戸が開いているのを見つけたが、
部屋には男の姿も遺体もなく、男性のまげだけが、残っていたという。
磯良の怨霊が遺体を持ち去ったのではないかと思われ、磯良はついにその目的を達成したのである…。
吉備津の釜 後編

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純真に尽くし続けた女が男に裏切られ覚えた憎しみ、
恨み続け息絶えた女の怨念を綴ったこの物語「吉備津の釜」。
数量限定でスカジャンになり、いよいよ今週末登場いたします!!

今週末11月15日(土)、各店にて一斉販売開始!(※三条店では取り扱いの予定はございません。)

気になる作品情報は近日、オンラインショップにて先行掲載されますので、お楽しみに!!

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