生地のハナシ15 ~顔料捺染(がんりょうなっせん)~2009.11.13
気まぐれ日記をご覧の皆様、こんにちは。
今回は衣の秋冬ダウンジャケットにまつわる最終話、
“顔料捺染”のオハナシです。
生地を染めるものを 一口に「染料」と呼びますが、
大きく2つの染料があり、そのもう一つが「顔料」です。
「染料」は水などに溶ける性質があり、液体そのものに色がついている物。
一方「顔料」は水などに溶けきらず 小さな小さな粒子が浮かんでいるだけ。
水に色が付いたように見えても、時間が経てば沈殿し 水は透明感を取り戻します。
子供の頃を 少し思い出してみてください。
草花を摘み取って遊んだ手についた色、バケツで洗うと水はずっとその色のまま。
でも泥遊びをした手を洗ったバケツは、最初 茶色なのに時間が経てば
その泥が底にたまり、水は少し透けて見えていたのでは?
水に溶けない「顔料」で 服を染める。
ただ それだけ考えただけでも、時間が経てばたつほどに
色は均一になりにくく 難しそうな技法だな。と思うのですが、
その顔料染めを 衣の総柄を染める技法『手捺染』で染め上げた生地が
“顔料捺染”なのです。
気温や湿度、わずかな環境変化で 簡単に性質・色を変える
この顔料という ちょっと意地悪な染料に、職人も かなり悩んだそうです。
時間との勝負、なのに 丁寧に刷らないと均一に色が付かない。
慎重にしすぎて時間を かければ かけるほど、色が変化する。
そんな試行錯誤の末 出来上がった素材です。
時々 いたずらに顔料の気が変わった瞬間があったのでしょう。
1着1着少しずつ 色が微妙に異なって見えるのは、だからかも知れません。
この秋冬、ダウンジャケットのみならず
様々な作品に“顔料捺染”で作られた素材が登場しています!
ぜひ、この技法の奥深さを着て 味わい、育ててやって下さいね。
※2009秋冬 “顔料捺染”素材が使われている主な作品
「月下美人ダウンジャケット」 「隠れ竹空軍ジャケット」 「竹キルトジャケット」
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