-もの作りのハナシ- 『本藍』2011.10.19
「JAPAN BLUE」
よく聞く色名ではあるが、どんな青?と思う時もある。
でもそれは“藍”が作りだす1つに縛られない幾階層もの色全部の事。
「瓶覗き(かめのぞき)」や「藍白」と呼ばれる白にも近い藍もあれば、
「濃紺」と呼ばれる深淵の藍もあるのです。
その色数のごとく、歴史・文化も多彩な色。
歴史をたどるのであれば、平安時代にその色は生まれ、戦国の世では武士の鎧下を藍で染め、
明治になる頃には日本全土に生産規模は広がったそうです。
そして文化…、「青は藍より出でて藍より青し」ということわざがあります。
“弟子が先生より優れていることのたとえ”なのですが、人が成長する上で、
教育や本人の努力がどんなに大切かということを意味しています。
さて、その藍の染料を作りあげることを“藍を建てる”と言いますが、その工程はとても大変なのです。
「赤ちゃんを育てるようなもの」と例える阿波藍作家がいます。
その作家の言葉を借りると、藍の葉の収穫から始まり、寝かせ、水をあげ、触れあい、ずっとそれを繰り返し、
そして約3か月くらいすると、ようやく“すくも”と呼ばれる藍の原料になります。
その“すくも”から、藍色に染められる液体を育てるためには、1日何度かのご飯(“ふすま”と呼ばれる小麦の殻)や
甘いもの(糖分やお酒)を、ご機嫌を見ながら与え、常に元気に育つ様にそばで見守り、
寒い時はその甕(かめ)を電気毛布でくるんであげる。
そんなわがままにも感じられ、過保護にも感じられる染料、それが“藍”なのです。
「藍」が好きで、「藍」と共に暮らし、「藍」を守る。そんな「藍」の作品を、大切にしていきたいと思います。
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